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2011年7月27日 (水)

無限振子

無限振子 精神科医となった自閉症者の声無き叫び

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定型発達者が自閉症を外から見て捉えた特徴ですが、自閉症には

積極奇異型(積極的に関わりをもつものの、関わり方が一方的であったり極端である)
孤立型(自分の世界にこもりマイペースで他者に関心を示さない)
受動型(自分自身の行動を自分で決断できず、他者の指示をまつ)

の3つのパターンがあるそうです。

その受動型に生まれた著者。

幼いころから周囲と馴染めず、場の空気も読めずにいじめられ、その苦悩を親にもわかってもらえず、なんとか自分を守るために周囲に受け入れられやすい「彼」:頭脳明晰で冷静、「彼女」:いつもニコニコして明るいという、ふたつの仮面をかぶり成長していき、精神科医となりますが、仮面で生きていくうちどんどん本当の「自分」がない状態になってしまい、ついには自殺未遂という経緯をたどって、ようやく自閉症と診断されます。

全く知らない子どもたちがあだ名で呼び合っているのが楽しそうで一緒になって呼び掛けて固まられたり、言葉を文字通りにしか解釈できず理解できない不文律が多かったり、内心はイヤでたまらないのに笑顔を崩せず言いなりになってしまったりetc
それでも、成績がよければ親や教師は問題のないできのいい子として扱ってしまうという現実。
3歳児検診時は引越しのドタバタで受けられず、人見知りは転居のせい、問題行動が起きた姉に親の注意がいき、ほっておいても大丈夫なおとなしい娘だと思い込まれていたそうです。

精神科医として患者さんから受け入れられているようですが、患者家族との対応がまた一苦労なようす。
しかも、精神科医というのは「心の理論」が成立していない自閉症の人には最もむいていない職業なのだとか

著者は、自閉症を「他人のことも自分のこともわからない状態」だと言います。
赤ちゃんの頃から肌のふれあう感触が大嫌いだったようで、触覚、聴覚、視覚などの感覚過敏もあり、気持ちの上では自分が女か男かもはっきりしない、自分の言いたいことをうまく伝えることができず言葉を失ってしまうという当事者が語る周囲に理解されない自閉症の苦悩。
声にならない悲痛な叫び。

そんな著者を支えてくれる専門家がふたりいて、そのおかげで今があるそうです。


「彼女」の仮面で楽しくすごした高校時代。
制服も校則もなく、周囲が個人の違いをあたりまえとして受け入れてくれる校風で、仮面などつけなくても受け入れられただろう、とありましたが、読んでいると、どうも、息子の高校っぽい

息子も数字へのこだわりが強く、幼稚園のとき運動会の絵にクラスの人数だけきっちり人を描くような子で、小中学校ではかなり周囲から浮いた存在でしたが、高校は生き生きとして通っていました。

この本の装丁は著者が描いたイラストですが、ちょっと似た部分があるかも。

表紙のパンダもビットマップ画像ですし、裏表紙からもかなりのこだわりを感じます

親としては、子どもの苦しみを知ればなんとか救ってあげたくても、仮面で接していられたら本当の姿はわからないよねぇ・・・

最後に彼女を支えるサポーターの精神科医と臨床カウンセラーの談話も載っています。
支えるほうも大変だなぁ・・・と思ったのが、いくら彼女のためにいろいろしてあげてもお礼の言葉が出てこなかった、というくだり。
してもらって当たり前という感覚なわけではないのでしょうが、生まれつきのなせる業とは思っていても、凹むだろうな、と。
お礼を言ってもらうためにしているわけではなくても、やっぱり「ありがとう」がないと空振りした気分になるよね



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